今回は第一話での登場以来、出番のなかった青年イージュが目覚めます。
目を覚ました彼が読んでいたのは第一話でクレアが図書室から借りて置いていった本です。その本のページを捲り、ふとある事に気づいたようですが、突然の睡魔に再びベッドに倒れこみ深い眠りについてしまいます。
治療方法の見つからない難病である夢中病患者の彼に一体何が起きたのでしょうか?
魔工学専攻のルチアとカナデはクレアのPC整理中、一つだけ開かないファイルを見つけます。しかしファイルにはセキュリティが掛けられ、この中身が研究のデータなのかプライベートなものなのか分かりません。仕方なく二人はこのことをキリセに相談し、指示を仰ぎます。頑丈なセキュリティがかけられたファイルを前に意気込むキリセ。彼女はメガネを掛けた時は本気のサインです。
このファイルの中にクレアが隠している事とは一体何でしょう。
パッシアフローラの花粉を吸い、倒れたリザが次に目を覚ましたのは町長の館。どうやら森の外で倒れていた所を担ぎ込まれたようです。不思議な体験を詳しく聞こうとする研究員ですが、リザ本人は覚えがありません。そして、研究員の口から聞かされる双子の片割れの幽霊の話。こちらは前回のお話でメイドのマギーが話したものよりもこの村で起きた事件を織り交ぜており、より詳しい内容でした。
リザはマギーに森の中で出会った女の幽霊が自分を助けてくれたと話します。リザは度々、幽霊の気配を感じ取ってはいたようですが、なぜ彼だけなのかはまだ不明です。何はともあれ、霧の原因が解明され、町には晴れた空が広がります。
町を出る間際、研究員が助けてくれた礼をしたいので学院都市に帰る時期を知りたいと申し出ますが、どこか様子がおかしいリザ。それもそのはずで、彼は学院に二年帰っていないのでした。どうやら彼と学院との間には確執があるようです。
※補足※
前回のお話でマギーが幽霊の具体的な特徴について知っていたのは、彼女が幽霊となった女の娘だったためです。そして町長はその女の片割れ、双子の弟です。
ノームを離れた女は行き着いた先で娘のマギーを身篭ります。マギーが10歳になった頃、女は弟との約束を忘れられずに彼女に留守を任して単身ノームに向かいますが、旅路の途中転落事故にあってしまいます。傷だらけの体を引きずりノームの町付近まで辿りつきますが、そこで息絶えてしまいます。この町を出なければ、彼女の運命は変わっていたのかもしれません。
女の死後、町に戻ってきた弟のオルバ。戦争中、大きな傷を負った彼はその後も後遺症に悩まされ、通常よりかなり帰還が遅れてしまいます。彼もまた町に残した姉との約束を果たせないことに苛立ち、苦しんでいました。やっと帰還が叶った彼を待ち受けていたのは、姉の死という現実でした。
そして母親の死後、数年の時を経てノームにやってきたマギーでしたが、町長となった叔父オルバの館でメイドとして働くことが叶い、自分の出自を打ち明け、母親の無念を晴らす機会をうかがっていました。しかし、彼女は村を出てしまい、約束を守れず後悔と自責の念に思い悩む母の様子を長らく見てきたためか、オルバは約束を守れなかった母のことを憎んでいるかもしれないと思い込み、本当のことを長らく言えずにいたのでした。
お互いを思いあったからこそ起きてしまったすれ違いが後悔と言う名の鎖に変わり、姉と弟の両者を深い霧の中に迷わせ、縛り付けていたのかもしれません。
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